前々から気にはなっていた本だった。ラノベ的な装丁と難しそうな内容に二の足を踏でした。
宇宙創造の謎にせまるという内容で、相対性理論や粒子力学の用語がばんばん出てくるみたいで、理解できるのかしらんという不安と、16歳の天才少女というギャップが渦巻いてくる。
しかし読んでみるとまったくの杞憂だということがわかる。
確かに、理解不能な用語がやたらと出てくるが、語り部である主人公にも良くわかってないので、読んでる方もハテナで良いのである。この手法は筆者の上手さであり、読手も安心して読めるのである。
「宇宙が無から始まった。」
というのが現代物理学での通説であるが、実はよく分かってない。
「宇宙が無から始まったのだとしたら、無なんてものはそこらじゅうにあるんだから宇宙がそこらじゅうで開闢してもいいのではないか?」
始まりはそんな老人の一言であった。
人生の終わりが見え始めて、自分の住んでいる宇宙がどうやって出来たのか知りたい。死んでしまう前に答えを見つけたい、と大学の講義を熱心に聴きに来る老人。
またまた、主人公が行きがかり上、田植えを手伝うことになったおばあちゃんが出てくる。彼女はただただ、先祖からの田を守り、ろくに遊ぶこともなく映画を見ず、海外旅行になんて行った事がないという。
「なんと哀れな人生だろう。」
と天才少女は言う。
その他、色々な立場の人間を絡めてストーリは漫然とすすんでいく。
主人公の日記的に話を進んでいくので、彼はそれぞれに人間に対して深い感情はないように見える。彼はなにしろ卒業して就職する事、片思いの彼女と上手くいくこと、それらのことが精一杯である。
だが、彼はおばあちゃんの田んぼをどうしても見捨てることが出来ないし、天才だが色んな重みを背負った少女を見捨てることはしない。
読んだ人がそれぞれ違った感情を持つだろうと思う。
そして素晴らしい読後感が得られる事を約束します。
PS:近々映画が公開されるそうですが
・・・・・おちこぼれロッカーが天才少女の孤独を溶かす
えっと、
多分・・・・映画と原作は別物ジャナイカナ?