2008年11月29日

てるてるあした/加納朋子



泣かずにいられない小説
私は、泣ける小説が大好きです。が、
作者が無理やり泣かそうとする小説は、虫唾が走るほど大嫌い。作者の魂胆が透けて見えた瞬間に、投げ捨てたくなります。私が読みたいのは、読者の反応など気にしないで、作者が書きたいように書いた小説。それなのに、読んだ自分が泣かずにはいられない小説。『てるてるあした』はまさにそんな「泣かずにはいられなくなる」小説です
――解説より

私は、いつも本を買うときに解説を読まない。更に解説は小説を読んだ最後に読み主義なので、本書を読んで、うかつにも泣いてしまった後、この成井豊氏の解説を読むにいたり
「そのとおり!」
と、激しく同意してしまいました。
本屋さんのポップ広告等で、「この本はとにかく泣けます。」なんて書いてあると、ちょっと斜めの目で見ている自分がいたりして、
あんまり情報がない状態で読んでみて、泣ける本に出会ったとき、本当に感動します。
とすると、この文章自体無意味だが・・・

まあ、とにかく読んでみてソンなし。














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2008年09月26日

黒い春/山田宗樹



なかなかに内容の濃い本であった。
大筋としては、架空の奇病の謎をとく医学サスペンスではあるが、その起源にまつわる歴史ミステリ的な趣も持ちつつ、病気との闘いにおける愛と勇気の物語でもある。
ともすれば破綻しそうな程の詰め込まれた内容でありながら、うまくまとまっているのは作者の力量であろう。
実際にぐいぐいと引き込まれながら一気に読んでしまった。
後半は最近観た映画の『死ぬまでにしたい10のこと』を思い出しながら読みました。


.
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2008年07月03日

神様のパズル



 前々から気にはなっていた本だった。ラノベ的な装丁と難しそうな内容に二の足を踏でした。
宇宙創造の謎にせまるという内容で、相対性理論や粒子力学の用語がばんばん出てくるみたいで、理解できるのかしらんという不安と、16歳の天才少女というギャップが渦巻いてくる。
しかし読んでみるとまったくの杞憂だということがわかる。
 確かに、理解不能な用語がやたらと出てくるが、語り部である主人公にも良くわかってないので、読んでる方もハテナで良いのである。この手法は筆者の上手さであり、読手も安心して読めるのである。
 「宇宙が無から始まった。」
というのが現代物理学での通説であるが、実はよく分かってない。
「宇宙が無から始まったのだとしたら、無なんてものはそこらじゅうにあるんだから宇宙がそこらじゅうで開闢してもいいのではないか?」
始まりはそんな老人の一言であった。
人生の終わりが見え始めて、自分の住んでいる宇宙がどうやって出来たのか知りたい。死んでしまう前に答えを見つけたい、と大学の講義を熱心に聴きに来る老人。
またまた、主人公が行きがかり上、田植えを手伝うことになったおばあちゃんが出てくる。彼女はただただ、先祖からの田を守り、ろくに遊ぶこともなく映画を見ず、海外旅行になんて行った事がないという。
「なんと哀れな人生だろう。」
と天才少女は言う。
その他、色々な立場の人間を絡めてストーリは漫然とすすんでいく。

 主人公の日記的に話を進んでいくので、彼はそれぞれに人間に対して深い感情はないように見える。彼はなにしろ卒業して就職する事、片思いの彼女と上手くいくこと、それらのことが精一杯である。
だが、彼はおばあちゃんの田んぼをどうしても見捨てることが出来ないし、天才だが色んな重みを背負った少女を見捨てることはしない。
 
 読んだ人がそれぞれ違った感情を持つだろうと思う。
 そして素晴らしい読後感が得られる事を約束します。


PS:近々映画が公開されるそうですが

    ・・・・・おちこぼれロッカーが天才少女の孤独を溶かす 


えっと、
多分・・・・映画と原作は別物ジャナイカナ?
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2008年05月29日

さよならの代わりに/貫井徳郎



以前に読んだ『慟哭』にがものすごく面白かったので期待しながら読みました。
内容は、未来から来たと言う少女が出てきて、殺人事件にからんでいくというもの。結構ありがちな感じ?
けれど、書き方が上手いのかぐいぐいと話に引き込まれ、つづきが気になって一気に読んでしまった。
さすがに『慟哭』をしのぐ程の驚きは無かったけれどもまあまあの作品かな。終盤で失速したかの感はいなめないかもしれない。
この作品の肝は“自称未来から来た”少女が言っていることが本当なのかどうかといったところではないでしょうか。
未来から来たと言うのがウソだとしたら正体は誰でなんの為にウソを言っているのか?もし、本当に未来から来たとしたら・・・とかあれこれ考えながら読むのが楽しいのかもしれませんね。
結末はオマケみたいなものかな?(^−^;
過去にタイムパラドックス物を読んだことがあれば一層楽しめるでしょう。


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2008年05月13日

アルキメデスは手をよごさない




昭和48年に発刊され、最近復刊されたらしい当書を書店で見かけ、このタイトルが何故か非常に気にかかった。
昔何かで読んだことがあるのではないか?
ある程度読み進んでみてもさっぱり記憶に無かった。
漫画になっていたような気もするし(おそらくは少女マンガ)多分姉貴の蔵書の中にあったのかもしれない。
結局最後まで読んでもはっきりしなかった。
話の中のオヤジ世代と何を考えているのかわからない若者との対立的なものもいまいちピンと来なかった。どちらも感情移入しにくかったのだ。
自分の世代はちょうどどちらにも属することがない新しい世代だと思う。
かといって面白くなかったわけではなく、小説自体としてはかなり楽しめた。
まるで『虚無への供物』を読んだあとのような、なんとも言えない読後感が残った。

「アルキメデスは手を汚さない」とい非常に意味深な題名も読み進めるうちに何を意味するのか解るのだが、
その意味が解けるときに理解不能だった若者(私にして見れば先輩達なのだが)の考えがちょっと解るような気がする。



 ↓これも一緒に読むと吉

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2008年04月09日

葉桜の季節に君を想うということ/歌野晶午



――あまり詳しくはストーリーを紹介できない作品です。
とにかく読んで騙せてください。
最後の一文に至るまで、あなたはただひたすら騙され続けることになるでしょう・



帯に書かれていたこの文章に引かれて買ってしまった。
この、いかにも挑戦的なあおりに対して無関心を保てるミステリマニアがいるでしょうか?(反語法
ここまで言われたら、警戒しすぎて誰もだまされないんじゃないのだろうか?
「泣けます」のあおりの所為で、どんなもんじゃいと身構えたばかりに泣けなかったときのように、肩透かしを食わされるんじゃないかと、心配をしながら究極の徹夜本と冠された本書を読むに至ったわけであるが・・・。

言葉もありません。(良い意味で

まいりました。完敗です。










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2008年03月01日

それでもミ浦和義はやってない



だいぶ前に購入した。
途中まで読んで放置していたが、これを機会に再読し始めた。
当時はまだ小学生位だったと思う。
当時のマスコミの狂乱ぶりだけが記憶にあるが
本書はまさにそれを思い出さされた。
ようやく後半に辿り着いた所だが、現時点で三浦容疑者は自分の中で真っ黒である。
本書を読んだ後三浦容疑者が無罪であると確信した人がいるようなので非常に興味深く読んでいる。




ところで最近こんなDVDも見た。




    どうか私を


    あなたたち自身が


    裁いて欲しいと思うやり方で


    裁いてください








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2008年01月19日

歌野 晶午



51F4JJ17BPL._SS500_.jpgブードゥー・チャイルド


 同じ作者でもこんなにも作風が違うものかしらん、と思わずにいられない2作品だった。
かたや、どんでん返しに次ぐどんでん返しでカタルシスを味わえたと思いきや、もう片方は最初からネタばれムードが漂いながら最後までそのままでした。
 どんな作家でも作品のばらつきはあるにしても、これはあり過ぎかもしれないね。もちろん、人それぞれ面白さのツボもあるので両方とも楽しめた方もいらっしゃると思います。
たまたま、両作品とも未読のまま、家にあったので(笑)両方とも読みましたが、片方だけ読んでたら(私がつまらないと感じた方)これ以後この作者の本を読まなかっただろうと思う。
玉石混淆という言葉もあるが、良いものだけを探すのは難しいけれど、一見無駄なものでもそれなりに人生の肥やしになれば良いのだろうか。
 ちなみにどちらが面白かったとかは言わぬが華であろう。ウフフ

 
 ――うつし世は夢、夜の夢こそまこと――
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2007年05月18日

新解さんの謎



新解さんとは新明解国語辞典の事である。
では、何故辞書が擬人化されているかと言うと、本書を読まれると解ってくるのですが、解釈に何か自己主張がある。
例文などに妙にこだわりがあったりして、読んでいくとある人物像が浮かび上がってくる。
それが“新解さん”なのである。

まず【恋愛】がすごい。

れんあい【恋愛】
特定の異性に特別の愛情をいだいて、二人だけで一緒に居たい、出来ることなら合体したいという気持ちをもちながら、それが、常にはかなえらないで、ひどく心を苦しめる・(まれにかなえられて歓喜する)状態。

辞書がここまで書くだろうか。
合体である。(・w・
しかも“出来ることなら”って・・・

動物園の説明も凄い。

【動物園】
生態を公衆に見せ、かたわらに保護を加えるためと称し、捕らえて来た多くの鳥獣、魚虫などに対し、狭い空間での生活を余儀無くし、飼い殺しにする、人間中心の施設。

・・・・・
か、偏っている・・
いいのかな?この辞書は。
しかも、この表現は第三版に限ったことのようで、次の版からは無難な表現に戻っているようです。
三版と四判の間にどんなドラマがあったかを考えるとたまらない。
行間を読めとはよく言うが
版間を読め!と言ったところだろうか。

さらに凄いのが一杯あるのですが、紹介しきれないので是非本書を読んで“新解さん”と出会ってください。
最後にお気に入りを一つ。

よのなか【世の中】
同時代に属する広域を、複雑な人間模様が織り成すものと捉えた語。愛し合う人と憎しみ合う人、成功者と失意・不遇の人とが構造上同居し、常に矛盾に満ちながら、一方には持ちつ持たれつの関係にある世間。

「どきどきしますね、この説明は」








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2007年04月04日

最近読んだ本



この人の本が文庫化されるたびに買って読んでるが、面白いのだろうか?(笑
毎回買ってるから好きなんだろうな。
全体に流れる福井弁が耳(?)に心地よい。
『スィングガール』とか『天然コケケッコー』にが楽しいのと同じ感じ。日本語って美しい。




舞城王太郎、全世界初のコミック化!
よりによって何故この作品?
なにを思ってしまったのでしょうか?
読むだけ損。





この人のエッセイはすごく好きだ。
だが今回は全体的にグチっぽいぞ。オーケンもトシかな?




筒井康隆は高校の頃から読んでいたが、今回はじめて本当に筒井康隆を読んだ気がした。(おこがましいが)




筒井康隆と言えば『時かけ』そしてジョブナイル
この作品もジョブナイル。なんか癒されるな。





結構好きな文体と雰囲気。
最後のぐだぐだ感はいかんともしがたいが、次の作品も買う。(文庫化したら)




加納朋子さんといえば連作短編。
今回もいぃ感じです。
前作の初の長編はちょっと・・・






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2006年12月04日

半落ち/横山秀夫

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【内容】
W県警本部教養課次席の梶警部が妻殺しの罪で自首してきた。病苦の妻を扼殺したという梶は取り調べに対し、犯行は認めるものの、殺害から自首までの2日間に関しては黙秘を通す、いわゆる半落ち状態となった。捜査官、検察官、裁判官ら6人の男たちは明かされない事件の残り半分を追うが…。男が命より大切に守ろうとするものとは何なのか? 同名映画が大ヒットとなった感涙の犯罪ミステリー。

【感想】
噂どおり感動した。読み終えたときに涙が流れた。物語の主観は全て主人公の他の人物によるものであり、それがまた良い感じになっている。
妻を殺したのを完全に認めながらも全てを自白しない(半落ち)のは何故か。途中でヒントが出されているのに最後まで気付かなかった。ミステリ的なものとしても秀作ではないだろうか。
寺尾章主演の映画にもなっている。それを観るのが楽しみになってきた。
だが、
だがしかし
一点だけ
気付いてしまった・・・
気付いてしまったのだ。
注:これ以降は小説を読んでない方、もしくは映画を観ていない人若しくは感動したままでいたい人は読まないでください。読むと呪われます。

妻を殺して、なおも生きる理由。
それはそれで感動的で良いと思う。
しかし
秘密にする必要があったのだろうか?
虚偽の自白をしてまで隠す必要が本当にあったのか?
実際には本人から自白していない、捏造された自白である。だから、なおのこと始末に終えないのではないだろうか。元警察官であっただけに、そのことにに気付かない筈がない。実際に捏造された調書によって多くの人間が右往左往することになっている。
その理由自体が秘密にすることを義務づけられているという前提があるのだが、知らされていない事実を勝手に調べてしまったという負い目があるとしても、行き先を明かさないことで身の潔白を立てることが出来たであろう。
その行為がはしたないと感じたのだろうか。
死ねない理由としては潔くないと思うのか。

誤解の無いように書いておくが
自分はこの作品に対してケチをつけるつもりは無い。
例えるなら美味しい魚を食べたときにのどに小骨が刺さったカンジである。
魚の美味しさには関係なく、食し方がいけなかったということだろうか。
満足した後に、チクっとした痛みがあったという事に過ぎない。

―そして、呪いというものは実在する。
未読のうちにここを読んでしまった人はこの疑問が脳にインプットされてしまい、この作品を読む機会があったときに純粋に感動することが出来なくなってしまうでしょう。魚を食べる前から小骨が喉に引っかかった様なものだ。剣呑まったく支障なく読むことができるかもしれない。
だが、ココを読む前とは確実になんらかの影響を受けいることは間違いない。これが呪いである。Q.E.D(証明終了)




ところで―
映画の公式サイト・・トップがもろネタばれになってるけどいいのかすぃら。(゚д゚ )

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2006年11月18日

殺人の門

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著者 東野圭吾
出版社名 角川書店


【本の内容 】
あいつを殺したい。奴のせいで、私の人生はいつも狂わされてきた。でも、私には殺すことができない。殺人者になるために、私には一体何が欠けているのだろうか…。心の闇に潜む殺人願望を克明に描く、衝撃の問題作!

【感想】
前作で強盗殺人を犯した犯人の身内がどうやって生きていくかを切実に描いた東野圭吾が今度は殺人をしてみたくてたまらない男を書いています。
憎くて殺してしまいたいんだけど、どうしてもその一歩が踏み出せない葛藤をすごくリアリィをもって読ませます。
「白夜行」以来東野圭吾のスタイルが決まってきたようで、大きな動きが無いのにぐんぐんと引き込まれていきます。
人を殺す動機というのはなんなのか。
はたして殺人の門を開くことが出来たのか。
「白夜行」→「手紙」→「殺人の門」
この順番で読まれるのがヨサソウ。

ちなみに今は横山秀夫の「半落ち」を読んでます。


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2006年11月08日

透明人間の納屋/島田荘司

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透明人間の納屋
Mystery land

著者/訳者名 島田荘司/著
出版社名 講談社 (ISBN:4-06-270561-3)


【本の内容 】
透明人間はこの世に存在する。人間を透明にする薬もある。見えないから誰も気がつかないだけなんだ、この町にだっているよ。…学校、友人、母親、すべてに違和感をもって生きる孤独な少年、ヨウイチがただひとり心を開き信じ尊敬する真鍋さんの言葉だ。でもどうしてそんな秘密を知っているのだろうという疑問がぬぐいきれないでいるところに、不可解な誘拐事件が発生した。密室から女性が蒸発したかのように消失したのだ。透明人間による犯行だと考えると謎は氷解するのだが。

【感想】
この本の楽しみ方はちょっと特殊かもしれない。
子供が読む本のように全ての漢字にルビが振ってあり大きめな書体となっていて読みやすい。話は全てヨウイチという子供の視点及び考え方で書かれているので、ここは素直に子供の立場になって感情移入するのが一番この本を楽しめるのではないかと思います。子供ながらに大人の世界を覗き見するようなどきどき感を味わえること必至です。子供なりの残酷さで大切な人を傷つけてしまった、誰も悪くないのにうまくいかない切なさというのが子供の心中を上手く書ききれていると感じた。
途中オトナ的な勘繰りでいろいろ考えてしまうと純粋に楽しめなくなるし、ラストのカタルシスを感じることができなくて損をすることになってしまうんじゃないかな?
思考を停止させるんだ。

思考を〒 ゐ   シ   ・  ・

・・・ 





















  ・・・・・かゆ  ウマ





はっ!(゚〇゚)

おもわずほろりとするラストは絶品です。
最近の島田荘子ものではダントツかな。(当社調べ



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2006年11月01日

手紙/東野圭吾


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明日朝早いのについつい4時まで起きて読んでしまった。
「強盗殺人犯の弟」という運命を持ってしまった主人公がたどる過酷な運命を読むにつれ、寝るタイミングをのがしてしまったのだ。
いつか浮かばれることはあるのだろうか?罪を償うということの意味とは?
先が気になってしょうがなかった。
「強盗殺人犯の弟」というレッテルを貼られた主人公が幸せになれるのか、または幸せになる資格があるのか?
実に深いテーマである。野沢尚著の『深紅』で殺人犯の娘と被害者の娘との接触を書いている。それと読み比べるのも一項かと思うが、この作品は映画になるようで、明後日から公開される。
実は前売りをすでにネットで買っていたりする。
作品中でミュージシャンを目指す主人公が映画ではお笑いを目指すことになっていたり、ラストで影響がある変更点が興味深い。


作品中ですごく気になった主人公に投げかけられる言葉があった。

差別はね、当然なんだよ。
犯罪者やそれに近い人間を排除するというのは、しごくまっとうな行為なんだ。

我々は君のことを差別しなきゃならないんだ。
自分が罪を犯せば家族をも苦しませることになる――
全ての犯罪者にそう思い知らせるためにもね。


差別ということを肯定しているこの発言はショッキングだ。
自分等は差別はいけないと教えられて来た訳だが、現実に置いて差別は当たり前のようにあった。
しかし、差別を肯定する言葉を見るのは初めてかもしれない。
その言葉を読んで何故かディスティ・ノヴァ教授の言葉を思い出していた。「宿命というものは確かにある」という言葉だ。

宿命というものは確かにある
人は場所・時代・環境を選んで生まれることはできない・・・ゆえに生まれた瞬間にそれぞれの人間の生きる条件は異なっている。
これが宿命です。
そして世界が残酷なのは当たり前のことです。
生の始まりは化学反応にすぎず、
人間存在はただの記憶情報の影にすぎず、
魂は存在せず精神は神経細胞の火花にすぎず、
神のいない無慈悲な世界でたった一人で生きねばならぬとしても・・・なお・・・

なお 我は意思の名の元に命じる

「生きよ」と!!













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2006年10月15日

正論は耳に心地よい。しかし裏に隠されたプロパガンダを読みとれないと、とんでもない間違いを犯す。

■福岡いじめ自殺 担任教諭も生徒をからかう 
 福岡・筑前町で中学2年の男子生徒(13)がいじめを苦にして自殺した問題で、中学1年の時の担任教諭が自殺した中学生をからかっていたことがわかった。男子生徒の両親は「これがいじめの発端になったのでは」とみている。


  30879939.jpg
死にぞこないの青
幻冬舎文庫
乙一/〔著〕

小説では救いがあるが現実ではやりきれなさだけが残る。
この作品は現実の事件と内容が被る。担任の教諭がいじめの発端になった過程が妙に説得力がある。
ちなみにこの作品はホラーと書かれているが決してホラーではない。
読み出すと止まらない、そして読後感はピカイチ。
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2006年08月02日

博士の愛した数式

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【本の内容 】
[ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた──記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。

【感想】
なんとも切なくてしみじみとする話ですね。
小川洋子さんの本は初めて読みましたが、女性らしい描写の繊細さが光る作品だと思いました。
80分しか記憶が持たない博士の生活は文字通り時間に置き去りにされたようで、博士と家政婦さんとその息子との時間は世界から切り離されて完結した世界のようです。
自分も時間から切り離されたような静かなJAZZが流れる喫茶店で読んでたっぷりと雰囲気にひたっていました。
いつ悲劇的なことが起こるのかどきどきしながら読んでいましたが、そんなには大したことは起こらずにほっとしました。
しかし、毎朝起きるたびに自分の身に起きている事を新たに思い知らされる博士の悲しみというのは想像を絶しますね。
小川洋子さんの他の作品を読みたくなるとともに映画のほうも見てみたくなりました。この世界がどういった映像になっているのか非常に興味深い。
惜しむらくは解説が今一歩と言うか(失礼)文学小説の解説としてなら申し分ないのかも知れませんが、数学者としての方向で解説をして欲しかったと思いました。特にオイラーの公式に関して何故あの場面でそれが出てきたのとか。
といっても作品の中で具体的に触れてない以上それに触れるのは野暮なのかなぁとも感じます。
自分なりに人間関係を当てはめて考えてみたりもしましたが言わぬが華ってとこでしょうね。


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2006年07月10日

なめとこ山の熊

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「なめとこ山の熊のことならおもしろい」
という出だしで始まる宮沢賢治の『なめとこ山の熊』という短編を読んだ。面白いといいながらも実は悲壮に満ちた話である。主人公の小十郎はなめとこ山に居る熊を狩ることを生業にしているのだが、熊の毛皮と肝を町の雑貨やに買い取ってもらうにもひどく買い叩かれる。あげくもういらないと言われるのだが、頼み込んで引き取ってもらう。無器用な生き方しかできないのだ。最後は熊に殺されてしまうわけで、まったく救いが無い話である。
 だが、熊はそんな小十郎のことが好きだという。その点がおもしろいということなのだろうか。(おもしろい=興味深い)
もちろん熊も殺されるのは嫌なので抵抗してみたり、命乞いをしたりする。当然の事だろう。小十郎が熊の2年待ってくれという命乞いを聞いてやるエピソードもあった。そのクマは約束どおりに2年後主人公の家の前で血を吐いて死んでいた。何故、熊が小十郎の事が好きなのかという具体的な理由は書かれていない。宮沢賢治の作品にはこういった雰囲気のものが多い。具体的に書かないことによって読み手の想像をかき立てるのだ。

 月明かりの中死んでしまった小十郎の周りに集まっていつまでもいつまでもじっと見つめるクマの描写は鳥肌が立つほどに美しい。

 宮沢賢治の小説の中に出てくる動物は人間より霊的な位が上のような感じで書かれている様に思われる。
しかし、立場はあくまでも動物としての地位にあまんじている。自然と一体になって暮らす彼らにとって人間の営みというのはなんて愚かでせかせかしているのだろうかと、だが、そんな人間に対する深い愛情を感じる。
『セロ弾きのゴーシュ』も一見意味なしの話に思えるが、そんな見方をすればなるほどと思ったり。

余談:子供のころ、『セロ弾きのゴーシュ』をアニメで観たと思うのだが、宮崎アニメっぽかったキガス
原作を読むよりもアニメのほうがしっくり来ました。これは文章よりも情報量(音楽とか)が多いのが有効だったと思われる。


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2006年06月09日

嫌われ松子の一生


「夜中にサッカーがあるので遅くまで見て寝不足にならないように」
朝礼で社長がいっていました。
俺らは子供か?
とも思いましたが、昨夜『のだめカンタービレ』を15巻まで一気読みして一時間程しか寝てません。

>挨拶

こんばんはΘzawinです。
 (またこのパターンか・・)


今日紹介するのは『嫌われ松子の一生 』 山田宗樹/著 です。(笑

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【内容(「BOOK」データベースより)】
三十年前、松子二十四歳。教職を追われ、故郷から失踪した夏。その時から最期まで転落し続けた彼女が求めたものとは?一人の女性の生涯を通して炙り出される愛と人生の光と影。気鋭作家が書き下ろす、感動ミステリ巨編。

【感想】
タイトルのインパクトに引かれて読んでみた。読み始めたら止められずに一気に読んでしまいました。読みやすい文章というのもあると思うが、構成がすごく凝っていてぐいぐい引き付けられてしまいました。
『嫌われ松子の一生』というタイトルからして、松子というのはすごく性格の悪い人なのかと思って読んだら、全くそうじゃありませんでした。内臓破裂によって自宅で死んでいた、という新聞記事から始まり、そのことを知った甥が、今まで存在すら知らなかった叔母の松子は、なぜ殺されたのか、と興味本位で松子の人生を追っていく。一方で30年前の松子の主観で進んでいく物語が交互に展開していき、ちょっとしたすれ違いで不幸のドミノ倒しに・・。何が間違っていて、誰が悪かったのか考える暇もなく物語りは急展開していきます。
読後の虚脱感はただ事でない感じに・・・。

中谷美紀さん主演で映画化されているようですが、映画を見る前に是非原作を読んだほうがいいのかな?と感じました。
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2006年02月10日

「飛蝗の農場」


ジェレミー・ドロンフィールド / 創元推理文庫
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【本の内容 】
ヨークシャーの荒れ野で農場をいとなむキャロルの前に謎めいた男が現れた。一夜の宿を請われ断るの段を経て、不幸な経緯から、ショットガンで男に傷を負わせたキャロル。看護の心得のある彼女は応急処置をほどこしたが、意識を取り戻した男は、以前のことを何も覚えていないと言う。幻惑的な冒頭から忘れがたい結末まで、悪夢と戦慄が読者を震撼させる。驚嘆のデビュー長編。


【感想】
翻訳物はあんまり読まないのだが、なにかの予感で手に取った。
けっこう不思議な話。美しくもあり恐ろしくもある。いろんな断片的な話が最後にぴたっとはまったときは何とも言えない味わい。
映画化されるとしたら雰囲気は『メメント』みたいな感じになると思う。
終盤のカタルシスはなかなかのもの。ある程度予想していたものが覆される快感を味わされる。
ラストが非難されることもあるだろうが、自分的にはコレが正解だと思った。あんまり書くとネタバレになりそうなので黙っておくが、森博嗣氏の一作品を思い出した。
二作目の「サルバドールの復活」が文庫になったら読もうと思う。
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2005年11月18日

脳は人体の中の迷宮

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二度目の読破。

すごいことに気づいた・・
それは

自分が完全にオチを忘れてたってこと。
半分以上読んでもトリックが思い出せなかった。しかも読後にうなってしまった。
自分の脳には致命的な欠陥があるのかもしれない。
しかし、おかげで同じ本を読んだのに初めて読んだ時の感動がまたあったことで得をしているのは確かだ。(笑

冒頭及び各章の最初にあるアインシュタインの「相対性理論」もふりであったことがわかる。
観測する位置によって同じ現象が違った見え方をしたり、『シュレディンガーの猫』的な趣もあるのかなと。
これはネタバレにはならない。何故なら、これだけ意味有り気に書かれていたら疑ってかかるのは当然である筈だからだ。また登場人物の手記になっている以上、叙述トリックが仕掛けられていると警戒してかかるのも普通である。
だがそれらを全てひっくり返した筆者においては言葉を失わなければならないのでは。というのが自分の感想。
何故かアンフェアであるとかラストの件が余分であるとか書かれた批評を目にするが、全てを含めて完成度が高いと自分は思う。素直に「やられたー」と感じました。説明が不十分とか、よく考えないと判らないオチに嫌悪感を抱く人がいるとしたら、映画でもなんでも損をしてると思うな。
posted by Θzawin at 17:07| Comment(11) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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